アリはどうやって行列を作る?
アリの行列は、においの道しるべでできています。エサを見つけたアリは、おなかの先から「道しるべフェロモン」というにおいを地面につけながら巣にもどります。巣の仲間はそのにおいをたどってエサに行き、帰りにまたにおいをつけます。たくさんのアリが通るほどにおいが強くなり、さらにたくさんのアリが集まって、1本の行列になります。においは時間がたつと消えていくので、使われなくなった道は自然に消えます。
このシミュレーターで、巣からさとうまで約50cmのひろい地面にアリを40ぴき放すと、次のようになることが多いです(くじ引きのようにばらつきます)。
| できごと | このシミュレーターでの時間の目安 |
|---|---|
| 最初の1ぴきが、さとうを見つける | 約1〜3分後 |
| 行列ができる(1分に10回以上運ぶ) | 約5〜8分後 |
| まん中のにおいを消す | 行列がとぎれて、しばらくウロウロする |
| 長さが約2倍ちがう2本の橋(約44cmと約82cm) | ほとんど(9割以上)が短い道を通る |
本物のアリは、巣の場所やエサまでのきょり、気温、アリの種類によって大きく変わります。最初の1ぴきが来るまで10〜30分ほどかかることもめずらしくありません。シミュレーターは「どんな順番で行列ができるか」を見るためのものと考えてください。
どうして短い道がえらばれるの?
巣からエサまでの道が2本あって、片方が短いとします。はじめは、アリは両方の道を同じくらい通ります。でも、短い道を通ったアリのほうが先にエサに着き、先に巣にもどってくるので、短い道のほうが早く、何度もにおいがつけられます。すると、次のアリも短い道をえらびやすくなり、においがさらに強くなります。アリは道の長さをはかっているわけではないのに、みんなで動くうちに短い道がえらばれるのです。
おうちの方向けに言うと、これは正のフィードバックによる「自己組織化」の例です。アルゼンチンアリで長さのちがう2本の橋をかけた実験(Goss ほか, 1989)では、多くの試行で短い枝に行列が集まりました。分かれ道でアリが枝をえらぶ確率は、それぞれの枝のフェロモンの量 A・B を使って (k+A)n÷((k+A)n+(k+B)n) という式で表され(Deneubourg ほか, 1990)、n=2 がよく使われます。このシミュレーターも、アリが左・前・右のどちらに進むかをこの式(k=6、n=2)で決めています。また、においが消える速さはフェロモンをつける場所で変わり、イエヒメアリでは紙の上で約3分、プラスチックの上で約9分で半分になったという報告があります(Jeanson ほか, 2003)。長さが同じ2本の道では、偶然においが多くなったほうに集まりやすくなりますが、どちらになるかは毎回ちがいます。
おうちでの実験のやり方
- 庭や公園で、アリが歩いている場所や巣の穴を見つけます。
- 巣から30cm〜1mくらいはなれたところに、紙を1まいしき、さとうをひとつまみ置きます。
- さとうを置いた時刻、最初のアリが来た時刻、行列ができた時刻を記録します。1分間にさとうの上を通ったアリの数を、5分ごとに数えるのもおすすめです。
- 行列ができたら、行列のとちゅうを指で5cmくらいこすって、においを消してみます。アリがどう動くか、行列がまたつながるまで何分かかるかを見ます。
- 終わったら、さとうと紙をかたづけます。アリの巣はこわさないようにしましょう。
真昼の暑い時間はアリがあまり出てこないので、朝や夕方がおすすめです。帽子と水筒を持ち、熱中症に気をつけましょう。アリにかまれることがあるので、手でつかまないようにします。家の中や家のすぐそばにさとうを置くと、アリが家に入ってくることがあるので、はなれた場所で行いましょう。
赤茶色の小さなアリが、たくさんでもり上がった土の巣(アリ塚)を作っているのを見つけたら、さわらずにはなれ、おうちの人に知らせてください。人をさすヒアリなどのことがあります。
自由研究のまとめ方のヒント
「さとうを置いてからの時間」と「1分間に通ったアリの数」をグラフにすると、行列ができていくようすがよくわかります。シミュレーターの実験ノートの記録とならべて、似ているところ・ちがうところを書いてみましょう。においを消したあと行列がもどるまでの時間や、さとう・塩・かつおぶしなどエサを変えたときの集まり方をくらべると、しっかりした研究になります。
よくある質問
アリは目で見て歩いているの?
行列を作るアリの多くは、目よりも、触角でかぐにおいをたよりに歩いています。においを消すとウロウロするのは、道しるべがなくなったからです。ただし、太陽の向きや目じるしになる景色をおぼえて、巣にもどるアリもいます。
行列がなかなかできないのはなぜ?
アリの種類によって、行列をよく作るものと、1ぴきずつ運ぶことが多いものがいます。また、エサが少なかったり、遠すぎたり、暑すぎたりすると、行列になりにくいことがあります。場所や時間を変えて、何回か試してみましょう。
アリはさとうがいちばん好き?
アリは甘いものを好みますが、季節や巣のようすによって、虫などのたんぱく質を多く運ぶ時期もあります。さとうとかつおぶしなどをならべて、どちらに多く集まるかくらべるのも自由研究になります。
ダンゴムシの迷路と同じような実験はできる?
ダンゴムシは1ぴきずつ、交互に曲がるくせで道をえらびます。アリは仲間がつけたにおいで道をえらぶので、たくさんで動くと短い道に集まります。ダンゴムシの迷路シミュレーターとくらべてみると、生きものの道のえらび方のちがいがわかります。
この実験に使えるもの
広告ボタンを押すと、楽天市場のページが開きます。ここから買い物をすると、おやこ実験ラボに紹介料が入ることがあります(商品の値段は変わりません)。値段や在庫は楽天市場で確かめてください。商品をえらぶときは、対象年齢や注意書きも確かめましょう。