やじろべえはなぜ倒れない?
やじろべえが倒れないのは、全体の「重心(じゅうしん)」が、ささえている点(支点)よりも下にあるからです。このシミュレーターの計算(うでの長さ12cm・おもり5gずつ)では、うでの角度と重心の位置、ゆれる時間(1往復)の目安は次のとおりです。
| うでの角度 | 重心の位置 | つつくと | 1往復 |
|---|---|---|---|
| — | — | — | — |
うでをまっすぐ横にすると、重心が支点より上になって倒れてしまいます。うでを少し下げて「へ」の字にすると、重心が支点より下に来て、つついてもゆらゆらゆれて元にもどります。
重心ってなに?
物の重さが1か所に集まっていると考えたときの点を、重心といいます。重心をささえると、物はかたむかずにつり合います。やじろべえは、うでの先に重いおもりがあるので、重心はおもりに近い、低いところにあります。
重心が支点より下にあると、やじろべえがかたむいたとき、重心が持ち上がる向きになるので、重さが元にもどすようにはたらきます。ぎゃくに重心が支点より上にあると、かたむいた向きにさらに倒れようとします。ほうきを手のひらに立てるのがむずかしいのは、重心が支点より上にあるからです。
おうちの方向けに言うと、やじろべえは支点のまわりにゆれる「実体振り子(剛体振り子)」です。重心が支点の下 d のところにあると、かたむき θ に対して M g d sinθ の復元トルクがはたらき、小さなゆれの周期は T=2π√(I/(M g d))(I:支点のまわりの慣性モーメント)になります。重心が支点に近い(d が小さい)ほど、ゆっくりゆれます。左右のおもりの重さがちがうと、重心が支点の真下に来る角度までかたむいて止まります。重心とつり合いは、小学6年生の「てこのはたらき」や中学受験の「重心」の問題につながります。
おうちでの実験のやり方
- ペットボトルのふたや発泡スチロールの玉に、つまようじを1本さして「からだ」と「足」(支点)にする。とがった先を指やえんぴつの先にのせます。
- 竹ひご(または、はり金)2本を、からだの左右にさして「うで」にする。竹ひごを切るのは、おとながやる。
- うでの先に、同じ重さ(はかりで5gずつ)にしたねんどをつける。
- うでをまっすぐ横にしたとき、少し下げたとき、大きく下げたときで、指の上に立つか、つつくとどうゆれるかをくらべる。10往復の時間をストップウォッチではかり、10でわると1往復の時間がわかります。
- 右のねんどだけ少し重くして、どちらにどれくらいかたむくかを分度器ではかる。
つまようじや竹ひごの先はとがっているので、目に向けたり、顔の近くでふり回したりしないようにしましょう。ねんどは小さい子が口に入れないように気をつけてください。
自由研究のまとめ方のヒント
うでの角度を5°ずつ変えて、「立った・倒れた」と「1往復の時間」を表にまとめると、倒れないぎりぎりの角度が見つかります。横から写真をとって、支点と重心の位置に印をつけると、なぜ倒れないのかを説明できます(重心は、糸で2か所からつり下げて、糸の線が交わる点をさがすと見つけられます)。おもりの重さやうでの長さを変えたときに、ゆれ方(はやさ)がどう変わるかもくらべてみましょう。
よくある質問
うでをまっすぐ横にしても立つことがあるのはなぜ?
からだが軽く、うでの先のおもりが重いときは、ほんの少しうでがたわむだけで重心が支点より下になることがあります。また、指の上の支点が少し広いと、まさつでしばらく止まっていることもあります。このシミュレーターでは、うでは曲がらず、支点は1点として計算しています。
うでを大きく下げるほど、よいやじろべえですか?
大きく下げるほど重心が低くなって倒れにくくなりますが、そのかわり、ゆれ方は速くなり、こまかくぷるぷるゆれます。ゆっくり大きくゆれるやじろべえにしたいなら、倒れないぎりぎりより少しだけ下げるのがコツです。
てんびんやシーソーとは、どうちがうの?
てんびんは、左右の「重さ×支点からのきょり」が同じになるとつり合います。左右でおもりの重さがちがうやじろべえがかたむいて止まるのも、同じ考え方で説明できます。てこのつり合いシミュレーターで、つり合う置き方を試せます。
ゆれる時間は、振り子と同じように計算できますか?
できます。やじろべえは、支点のまわりにゆれる振り子の一種です。糸の先におもりをつけたふつうの振り子は、振り子シミュレーターで試せます。
この実験に使えるもの
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